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2010/05/18

地籍調査促進で新制度 実施主体として民間法人の活用可能に 国土交通省

 一筆ごとの土地の境界や面積を明確にする地籍調査を促進するため、調査や測量の一体的な実施主体として民間法人を活用する新たな制度を国土交通省が創設する。事業主体の市町村が業務を委託することができる法人の要件を定める国土交通省令を、7月をめどに公布する。2010年度後半から新制度に基づく業務委託が全国で始まりそうだ。
 地籍調査は、一筆ごとの土地の境界や面積、所有者などを明確化し、登記情報などを正確にするもの。1951年に制定された国土調査法に基づき、市町村が進めている。しかし、これまでの進ちょく(2008年度末現在)は全国で48%。権利関係が複雑な都市部(人口集中地区)では20%しか進んでいない。農地などは71%と比較的進んでいるが、林地は41%と遅れている。
 地籍調査の遅れによる土地境界などの不明確さは、土地取引や、再開発など都市再生の障害になっている。阪神・淡路大震災の復興でも問題が顕在化した。また、山村部においても、林業を振興していくために必要な森林整備や森林集約化の支障となっている。
 地籍調査が進まない要因には、住民への説明や、立ち会いなどの協力要請、土地への立ち入りなど業務が煩雑な一方、これに見合った数の職員や予算を市町村が確保できないことがある。
 そこで、地籍調査のための調査や測量を一括し、一定の要件を満たす民間法人に委託できるようにする。これに必要な国土調査法の一部改正が今国会で成立、4月1日から施行した。
 市町村から業務を受託する民間法人としては、測量士や土地家屋調査士、地元関係者などが集まって組織するNPO法人などが考えられるという。法人の要件について、測量などの技術力や、境界調査を公正に実施する能力を持つことなどを省令で定める考え。
 民間法人が受託する業務内容としては、情報の収集・整理や、関係者の立ち会いなどによる調査▽土地への立ち入りや障害物除去、標識設置作業などを含む測量▽地図や簿冊の原案作成―などを想定している。
 事前の計画策定や住民への説明、成果の認証申請、登記所への送付などは市町村が行う。

提供:建通新聞社