国土交通省が行った「2020年度下請取引等実態調査」で、技能者の賃金水準を「引き上げた(予定含む)」と回答した許可業者は全回答者の79・3%となった。前年度の同じ調査と比べ、4・6ポイント減となり、調査開始後初めて「引き上げた」と回答した割合が減った。今回の調査で設問に追加した建退共の関連では、加入している許可業者が65・9%、直接雇用する技能者に証紙を全て交付している許可業者は68・3%だった。
調査は、元請け・下請け間の取引の適正化を目的に毎年実施しており、今回は許可業者1万8000者に調査票を送り、1万3479者が回答した。指導対象の28項目の全てに適正な対応を取っている業者は全体の10・9%と過去最高を更新。不適正な取引を確認した許可業者にはすでに指導票を送り、是正措置を求めた。
技能者の賃金水準引き上げに関する設問は、公共工事設計労務単価を全国全職種平均で15・1%引き上げた13年度に追加。賃金水準を引き上げたと回答した割合は、その後6年連続で上昇し、19年度に83・9%となっていた。20年度は79・3%と引き続き高い水準にあるものの、初めて前年から減少に転じた。
賃金を引き上げない理由は「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」が44・6%と最も多かった。
20年度調査で初めて回答を求めた建退共の加入状況については、加入している許可業者が65・9%にとどまった。直接雇用する技能者に全ての証紙を交付しているとの回答は68・3%、下請けに対して全ての証紙を交付しているとの回答は45・7%だった。
建設キャリアアップシステム(CCUS)に事業者登録しているとの回答は20・7%、現場にカードリーダーを設置しているとの回答は4・3%だった。
完全週休2日制(4週8休)を採用している許可業者は全体の31・1%となり、前年度比で2・7ポイントの上昇にとどまった。4週7休は8・2%、4週6休は38・8%、4週5休は8・8%、4週4休は12・6%、4週3休以下は0・5%となっている。
提供:建通新聞社