建設業労働災害防止協会(建災防、今井雅則会長)は3月18日、第156回常任理事会と第147回理事会を東京都内で開き、2021年度事業計画と収支予算を決めた。調査研究事業では、新たに開発した「新ヒヤリハット報告」の周知や、昨年の厚生労働省の省令改正を踏まえて改定した「ずい道等建設工事における換気技術指針」の普及を推進。教育事業では、特に「ずい道等掘削等作業主任者技能特例講習」と、「建築物石綿含有建材調査者講習」の講習体制を整備することを盛り込んだ。
「新ヒヤリハット報告」は、事故・災害の手前で危険を認知した事例を収集する際、労働者の心身の状態や仕事の量的負担も加味して分析する手法。4月にマニュアルを発刊し、現場での活用を促進する。今井会長は「労働者の心身の健康確保の推進は働き方改革の一環であり、建設業において働きやすい職場を形成することにつながる」と述べ、建設現場のメンタルヘルス対策の重要性を指摘した。
教育事業では、ずい道の掘削作業主任者技能特例講習を支部で開催するため、指導要領や視聴覚教材、修了試験問題を作成する。また、適切な石綿対策の前提となる建築物石綿含有建材調査者講習の体制も強化。支部での講習開催に向けて、講師を対象とした講習を実施する。
建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)については、さらなる普及、認定事業場の拡大に取り組む。特に中小規模の建設事業者については「コンパクトコスモス」の普及を促す。
安全衛生教育用のテキスト、用品については、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、ウェブ上での販売や、メールによる情報配信サービスを検討する。
才賀清二郎副会長は退任し、顧問に就任。後任として大木勇雄日本建設躯体工事業団体連合会会長が副会長に就いた。
提供:建通新聞社