経済産業省は、中小企業のM&Aの推進に向け、今後5年間に実施する官民施策を盛り込んだ工程表を4月をめどにまとめる。譲渡側企業の売上高が1億円以下の小規模・超小規模企業については、各都道府県に設置している公的な窓口である「事業引継ぎ支援センター」を通じた支援の拡充や、民間のM&A仲介業者と同センターとの連携強化に取り組む。企業が士業などの専門家を活用する際に費用を補助することも盛り込む。
中小企業のM&Aは年間3000〜4000件程度。実施企業は特に東京エリアに集中していることから、地方での浸透を目指す。後継者の不在による中小企業の廃業、経営資源の散逸を防ぎ、M&Aを円滑化するための道筋を工程表にまとめる。事業引継ぎ支援センターは2021年度から、親族内での事業承継の支援組織と統合し、後継者不在企業のワンストップ支援を担う。
経産省は工程表案で、小規模・超小規模企業の経営者はM&Aへの認知が不足し、また抵抗感がある実態を指摘。事業引継ぎ支援センターと民間M&A支援機関との連携を強め、きめ細かな相談と広域でのマッチングを両立させるとともに、潜在的な譲り受け側企業の掘り起こしを行う。
売上高1億円以上の大規模・中規模M&Aについては、企業の取り組みを後押しするため、簡易な企業価値評価ツールを提供する。M&Aの成立前後に企業を支えるため、経営戦略の策定や、税制・補助金による支援も実施する。中小企業を投資対象とするファンドの裾野も広げる。
また、中小M&A全般に関する取り組みとして、商工団体や金融機関、士業などの専門家による継続的な支援基盤を構築する。事業承継に関する集中的な広報や、業界ごとの説明会の開催を推進する。
提供:建通新聞社