国土交通省が行った社会保険加入や賃金に関する調査で、一人親方を継続的に現場に従事させている建設業許可業者の31・5%が社員よりも一人親方の数が多いと回答していたことが分かった。従業員数9人以下になると、一人親方が社員数を上回る許可業者が46・9%まで増加する。請負契約を結んでいるはずの一人親方に対し、仕事量・配分を指示したり、報酬を時間・日数で決めるなど、雇用する社員と同様に扱っているとの回答も多かった。
この調査は、無作為に抽出した許可業者3万者に調査を依頼し、今年1月15日までに5122者が回答した。社会保険加入状況や賃金・法定福利費の支払い状況に加え、一人親方の実態や契約方法を回答してもらった。
調査結果によると、一人親方を継続的に現場に従事させている許可業者は32・4%の1566者。このうち、直接雇用している社員数を一人親方の数が上回るとの回答は31・5%あった。従業員数9人以下に限定すると、社員数を一人親方の数が上回る許可業者は46・9%に増加する。
調査では、専属で一人親方を現場に従事させている許可業者に現場実態・契約方法なども回答してもらった。
この回答を見ると、一人親方に対し、「見積書の作成・提出を求めていない」(61・9%)、「会社が仕事量・配分を指示している」(61・3%)、「報酬を働いた時間や日数で決める」(68・0%)、「機械・器具を会社が提供する」(47・1%)などと、雇用する社員に近い形で一人親方を現場に従事させている実態も明らかになっている。
現在、国交省は、社会保険加入を逃れるための偽装一人親方≠フ増加を問題視し、現場の入場制限や適正に現場で働く一人親方の処遇改善策を検討している。
提供:建通新聞社