国土交通省は、社会保険加入を回避するため、偽装一人親方≠ニして技能者を抱える下請けの現場入場を制限する方針を固めた。明らかに雇用形態にある一人親方を現場で確認した場合、直接契約する企業を下請けとして選定しないよう、『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』で求める。「実務経験年数10年」や「建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル3相当(職長級)の技量」などを目安として、適正な一人親方か、元請けに判断してもらう。
一人親方の偽装防止や処遇改善を検討してきた「建設業の一人親方問題に関する検討会」の中間報告に対策の柱として盛り込む。検討会は、社会保険料の事業主負担分の支払いを回避するため、雇用関係にある技能者を一人親方として偽装するケースが増えているとの指摘を受け、昨年6月に発足したもの。
検討会の9日の会合で示された中間報告案では、『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』を改訂し、雇用形態にある技能者を一人親方として仕事をさせている企業を下請けに選定しないよう、元請けによる現場指導を求めた。
ガイドラインには、偽装一人親方を元請けが判断するための目安も示す。作業員名簿で雇用保険に未加入の10代・20代の技能者を確認した場合、実務経験が10年以上あるか、CCUSのレベル3相当の技量があるかをチェック。元請けは、該当する技能者や下請け企業にヒアリングし、過去に工事を請け負った一人親方には確定申告の写しなども提出してもらう。
中間報告では、適正に現場で働く一人親方の処遇改善策も提言する。一人親方が、雇用されている労働者と同等の賃金を受け取れるよう、▽社会保険料(国民健康保険、国民年金)▽安全衛生経費▽一人親方労災特別加入の保険料▽交通費▽建退共の費用▽資機材費―などを必要経費とし、契約を交わすよう求める。
また、法令違反が疑われる場合に技能者本人が相談しやすいよう、建設業団体が相談窓口を設置することも提言。建設業団体を通じ、労働基準監督署などの行政機関に相談できるように誘導する。
提供:建通新聞社