国土交通省は、2021年度に「ICT構造物工(橋脚・橋台)」と「ICT路盤工」を直轄工事で試行することを決めた。ICT構造物工は、レーザスキャナなどの3次元計測技術を活用し、計測作業の効率化や高所作業の省略による安全性の向上を実現。ICT路盤工は、締固め密度を面的に把握する「加速度応答」を採用し、現場の密度試験の効率化を図る。21年度にそれぞれ約10件程度を試行し、22年度から本格導入する。
16年度に土工でスタートしたICT施工は、20年度までに▽舗装工▽浚渫工(港湾)▽浚渫工(河川)▽地盤改良工▽法面工▽付帯構造物設置工▽舗装工(修繕)▽基礎工・ブロック据付工(港湾)―に導入している。21年度は、構造物工(橋脚・橋台)と路盤工の試行に加え、港湾工事の海上地盤改良工(床掘工・置換工)で本格導入する。
ICT構造物工(橋脚・橋台)では、3次元計測技術を起工測量、契約図書照査、出来高管理、出来形管理、出来形検査に活用し、計測作業を効率化する。レーザスキャナやUAVを活用して広範囲に起工測量を実施する他、出来形・出来高管理ではレーザスキャナやTS(ノンプリズム方式)で点群測量を行い、PC上で寸法計測を実施できるようにする。
21年度の試行では、3次元計測と従来の出来形管理のコスト比較の他、構造物の出来映えを点群データのヒートマップで確認できる手法などを検証する。構造物工については、橋梁上部・基礎工にも工種を拡大できるよう、21年度に技術基準案をまとめる見通しだ。
一方、ICT路盤工では、振動ローラに取り付けた加速度計で路盤の密度を計測。従来の砂置換による部分的な密度管理から、加速度応答値による面管理を導入することで、路盤の品質を向上させる。現在の砂置換を省略することで、試験・分析作業の効率化にもつながるという。21年度の試行により、加速度応答法の密度計測の精度を検証する他、計測効率・コストも確認するとしている。
提供:建通新聞社