国土交通省は、タブレット端末などで撮影した画像を解析する鉄筋出来形確認システムを2021年度に試行導入し、直轄工事の配筋検査を省力化する。コンクリート打設前に行う配筋検査は、受注者側で最低3人、発注者側で監督職員1人が立ち会い、鉄筋間隔や鉄筋径を確認する。鉄筋間隔を画像処理で確認する鉄筋出来形確認システムと遠隔臨場を組み合わせることで、受注者側の人員を1人に省力化し、監督職員はリモートで配筋状況を確認できるようにする。2021年度に約20件を試行したい考えだ。
直轄工事では、受注者が現場でウエアラブルカメラやタブレット端末で撮影した映像データを配信し、発注者がオンラインでこの映像データを確認する遠隔臨場が試行されている。
段階確認、材料確認、立ち会いを効率化する遠隔臨場は、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に導入が進み、20年度に約560件(20年10月末時点)で試行されるなど、活用が広がっている。国交省は、段階確認で遠隔臨場を試行する際の対象工種を拡大するなど、21年度も遠隔臨場の試行を増やす方針だ。
また、遠隔臨場と画像解析による配筋検査を組み合わせ、現場のリモート化・非接触化をさらに推進する。
鉄筋コンクリ―ト構造物の配筋検査は、コンクリート打設後に確認できない鉄筋間隔や鉄筋径などを打設前に監督職員の立ち会いの下で確認する。鉄筋出来形確認システムを活用することで、タブレット端末で撮影した鉄筋間隔を画像解析し、クラウド上で受発注者が共有できるようにする。
このシステムを導入することで、最低3人は必要だった受注者側の人員を撮影者1人に削減。遠隔臨場との組み合わせにより、監督職員も現場に立ち会わず、事務所からリモートで検査できるようにする。
配筋検査を省力化できる技術は、20年度に「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」で、清水建設、鹿島、JFEエンジニアリング、IHIインフラ建設を代表とするコンソーシアムが現場実証を進めている。この現場実証の成果を踏まえ、直轄工事の試行に活用できるシステムの機能要件を3月中に定める。
提供:建通新聞社