国土交通省は、直轄事業の設計業務の成果品にコンクリート構造物のスランプ値を原則12aとすることを明記させる。直轄事業では、コンクリートの流動性を高めて作業効率を上げるため、2017年度からスランプ値を標準12a以上と定めているが、従来の8aで施工するケースが6割ある。設計段階からスランプ値を明記し、打設効率の高いスランプ値12aの採用率を高める。3月中に地方整備局に通知する。
配筋の高密度化が進むコンクリート構造物では、従来通りスランプ値8aでコンクリートを打設すると、打設効率の低下や充填(じゅうてん)不足を招く恐れがある。
国交省は、17年4月に『流動性を高めた現場打ちコンクリートの活用に関するガイドライン』を策定。一般的なコンクリート構造物では、施工者の判断で流動性の高いスランプ値12aを採用できるとしていた。
19年度時点の調査では、スランプ値を12a以上とした工事は41%まで増加したものの、設計段階での採用は17%と低い割合にとどまっている。設計段階でスランプ値を設定しているのは中部地整と九州地整のみで、設計段階の採用を全地整で原則化し、施工段階での採用率の向上につなげる。
設計成果にスランプ値12aを明記するものの、施工者が現場条件や構造物の特性を踏まえ、最適なスランプ値を設定することは妨げない。
こうした取り組みは、現場打ちのコンクリートの生産性向上の一環で進めているもの。3月末までに各地整に通知する。通知では、同じくコンクリート工の生産性を高めるプレキャスト製品の積極的な採用も求める。
具体的には、特殊車両通行許可を受けたトレーラ(特車)で運搬できる中型・大型構造物にプレキャスト製品を原則として採用するよう求める。事前の輸送ルート調査の徹底(重量制限・道路線形の確認など)、車上でのプレキャスト製品の固定方法や養生方法といった、プレキャスト製品を採用する場合の留意事項も明記する。
提供:建通新聞社