全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)と全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)は、国土強靱(きょうじん)化の推進と、コロナ禍からの日本経済の早期の回復に向け、2020年度補正予算と21年度当初予算に盛り込まれた公共事業の円滑な施工のための取り組みを強化する。入札の不調・不落などを防止するため、都道府県建設業協会など傘下団体に対してそれぞれ2月8日、都道府県など発注者との意見交換会を可能なら2〜3月中をめどに開き、意思疎通を緊密化することなどを求める文書を送付した。
公共工事の円滑な施工の確保については、総務省と国土交通省も1月29日、都道府県と政令指定都市に通知。地域の建設業団体との意見交換による緊密な連携や、入札・契約の適正化などを求めた。2月8日には意見の交換の進め方について、国交省が都道府県に事務連絡を送った。今回の全建と全中建の傘下団体への要請は、改めて業界側としても対応を強化するもの。
両団体は送付した文書の中で、補正予算と当初予算で計上される公共事業の円滑な施工が、防災・減災、国土強靱化の推進と、コロナ禍からの日本経済の早期回復のために必要不可欠と強調。
一方、発注のあり方によっては、受注者サイドの受注体制や採算基準などに適合せず、不要な不調・不落が発生するなど、円滑な施工が妨げられる恐れがあると懸念を示した。そして、今後の公共事業の円滑な施工に向けて、発注者と受注者との間で意思疎通を緊密化するよう傘下団体に求めた。
具体的には、都道府県からの呼び掛けに応じて意見交換会を、可能であれば2〜3月をめどに早期に開催。その後も、定例の意見交換会を含め、意思疎通を緊密化する。また、意見交換で出た意見などについて、会議の終了後の報告を求めるともに、その後の定例の意見交換会やブロック会議などでのフォローアップを呼び掛けた。報告された意見を基に国交省への早期の要望や提言も検討していく。
また、都道府県建設業協会の支部や傘下団体、全中建の会員団体では、市町村との意見交換会なども行う。
想定される意見交換のテーマでは、発注者側は、不調・不落対策など施工確保の取り組みを説明する。受注者側は、発注予定工事に関して、発注時期や工期、積算、発注ロット、再入札の方式などの改善を要望する。
提供:建通新聞社