国土交通省や建設業振興基金、建設業団体が設定した建設キャリアアップシステム(CCUS)の2020年度末の登録目標が、達成される見通しとなったことが分かった。20年12月末時点の登録数と登録のペースが続けば、技能者登録50万人、事業者登録7万社、就業履歴720万件の目標を達成する見込みだという。ただ、2次下請け以下、地方圏、小規模現場などでの登録は依然として進んでおらず、国交省は新たな登録促進策を講じたい考えだ。
登録目標は、昨年10月に開いたCCUS運営協議会の運営委員会で関係者間で合意されたもの。収支の安定やシステム更新への投資余力を確保するため、低位推計に基づく技能者登録50万人、事業者登録7万社、就業履歴登録数(カードタッチ数)720万件の目標を設定した。
20年12月末時点の登録状況を見ると、技能者登録は44万3368人、事業者登録は6万7225社(一人親方除く)、就業履歴数が583万0641件となり、20年4月以降の単月の登録数を維持すれば、目標をクリアする見通しだという。
当面の目標達成に見通しはついたものの、今後もシステムを持続的に運営するための課題は多い。大手ゼネコンの働き掛けにより、1次下請けの事業者登録は進んでいるものの、ゼネコンと直接的な契約関係にない2次以下の下請けの登録は進んでいない。
地域別の登録数でも、依然として都市部と地方部で差が大きく、全許可業者に対する事業者登録率は都市部では10%を超えているが、地方部では10%を下回る地域がほとんどだ。戸建て住宅などの小規模現場でも、現場運用の難しさから現場登録が進んでいない。
また、技能者登録した技能者44・3万人のうち、実際に現場でカードをタッチし、就業履歴を登録した実績のある技能者は8・8万人(19・7%)に過ぎず、そのうち約半数の4・5万人の就業履歴数は1〜10回にとどまっている。
国交省と振興基金は、こうした課題を踏まえた登録促進策を検討し、2020年度末までに開く運営協議会に提示したい考えだ。
提供:建通新聞社