国土交通省は、建築士法に基づく重要事項説明をオンラインで実施する「IT重説」を本格運用した。IT重説は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って暫定的に運用され、その後の社会実験で課題を検証していたが、大きな課題がないとして恒久的な措置として本格運用を始めた。本格運用に伴う実施マニュアルもまとめ、1月18日からマニュアルに沿って行うIT重説を建築士法に基づくものとして取り扱う。
建築士法では、建築主が建築士に設計業務を委託する際、建築士に契約内容・業務体制を対面で説明することを求めている。国交省は、コロナ禍で対面の説明が困難になったため、昨年5月に暫定的にオンラインでの重要事項説明を容認した。
昨年7〜11月には903建築士事務所の協力を経て、社会実験も実施。社会実験後に行ったアンケート調査では、建築士の96%、建築主の83%がIT重説の解禁が「問題ない」と回答したことを踏まえ、重要事項説明をオンラインで行うことを認める。
本格運用に伴い、『ITを活用した建築士法に基づく設計受託契約等に係る重要事項説明 実施マニュアル』も策定。IT重説に必要とされるIT環境やソフトウェアなども示した。
ただ、オンラインでの重要事項説明は認めるものの、重要事項説明書は書面で交付する必要があるため、事前に建築主に郵送しなければならない。政府は今通常国会に各省庁の行政手続きをデジタル化できるようにする一括改正法案を提出する予定で、この法案が成立すると重要事項説明書をメールなどで送付することも可能になる。
提供:建通新聞社