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2020/12/25

建設生産システムの将来像を議論

 国土交通省の「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」は12月24日、デジタル化の急速な進展を見据え、建設生産・管理システムの10年後の将来像を提言するための議論を開始した。デジタル技術を活用した設計・施工・維持管理の効率化を進める一方、建設産業の従来の領域にとらわれず、IT業界をはじめとする関連産業のデータ・新技術も取り込める「開かれたインフラ産業」もテーマに将来像を提言する。
 会合の冒頭、東川直正大臣官房技術審議官は「新型コロナウイルスの感染拡大により、仕事の進め方に変化が生じている。大きな変動の中で、発注者がどのように責任を果たすのか、前例にとらわれずに議論してもらいたい」とあいさつ。
 座長の小沢一雅東京大学大学院教授は「今後、社会のデジタル化への要請がますます強くなる中、新しい建設生産・管理システムを考える必要がある」と話した。
 国交省は会合で、人口減少下で受注者・発注者双方の担い手が減少し、業務の効率化が共通課題になっているとの認識を提示。その上で▽効率的で質の高い事業の実現▽多様な事業者が参画できるインフラ産業▽創造的な成果を生かしやすい発注方法▽安全で働きがいのある労働環境―といった視点で、建設生産・管理システムの将来像を示す必要があるとした。
 新型コロナウイルスの感染拡大で急速に進展するデジタル化を柱に議論を展開する。これまでも進めてきた3次元データを設計・施工・管理に活用することに加え、建設産業が従来の測量会社・建設コンサルタント・ゼネコンだけでなく、IT業界を取り込んだ広がりを持った産業になる必要があるとも指摘した。
 懇談会の有識者からは、「IT業界のプラットフォームに取り込まれ、建設産業にメリットが行き届かないのは不本意」「IT業界にノウハウが移転してしまうと、建設産業の付加価値がなくなる。建設産業にとどめておくべきノウハウを整理すべき」などと、関連産業との役割分担の明確化を求める声が聞かれた。
 また、「建設産業側にIT業界を使いこなせる人材を育てる必要がある」などと、デジタル技術に通じた人材育成の重要性も指摘された。

提供:建通新聞社