政府は12月21日に閣議決定した2021年度当初予算案で、一般会計分の公共事業費として6兆0695億円(国費)を計上した。国土強靱(きょうじん)化関連の公共事業費を上乗せしていた「臨時・特別の措置」が終了したため、前年度比では11・5%の減額だが、臨時・特別の措置を除く通常分との比較では0・04%増とほぼ同額。各省庁が要求していた国土強靱化の関連予算は、15日に閣議決定した20年度第3次補正予算案に振り替えられたため、3次補正の公共事業費は2兆4610億円(国費)と12年度以降の補正予算では最大規模となっている。
21年度当初予算案の編成では、18〜20年度の公共事業費を上乗せした『防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策』の延長が焦点の一つだったが、政府は3か年緊急対策を事業費15兆円の規模で5年延長する『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』を11日に決定。国土強靱化関連の公共事業費は25年度まで継続して増額することになった。
ただ、5か年加速化対策の初年度分の事業費は、20年度第3次補正予算案に全額計上され、21年度当初予算案には計上されていない。
このため、臨時・特別の措置が廃止された21年度当初予算案の公共事業費6兆0695億円は、前年度から7876億円の減額。臨時・特別の措置を除く前年度の通常分との比較では26億円の増加とほぼ同規模となる。
ただ、20年度第3次補正予算案は、21年度当初予算案と一体で執行されるため、公共事業費に出来高が生じるのは21年度から。実質として21年度に執行される公共事業費は、20年度3次補正の2・5兆円と21年度当初の6・1兆円の合計8・6兆円。この規模は、20年度に執行されている19年度補正1・6兆円、20年度当初の通常分6・1兆円、20年度の臨時・特別の措置0・8兆円の合計8・5兆円を上回る規模となる。
5か年加速化対策の関連経費は計上されなかったものの、21年度当初予算案にも、防災・減災、国土強靱化関連の公共事業に重点的に予算を配分している。自然災害の激甚化に対応する抜本的な治水対策「流域治水」に取り組む地方自治体を支援するため、防災・安全交付金を8・8%増の8540億円に増額した上で、関連施策に3000億円を優先的に配分する。
大規模災害の発生時、帰宅困難者や避難者を一時的に受け入れる民間建築物の施設整備や耐震化を支援する補助制度「地域防災拠点建築物整備緊急促進事業」も創設。初年度分として140億円を確保する。
21年度当初予算案の省庁別の公共事業費は、国土交通省が前年度の通常分と比べ0・04%増の5兆2587億円、農林水産省が0・1%増の6995億円。この他、環境省の495億円、内閣府の424億円、厚生労働省の172億円、経済産業省の22億円は前年度の通常分と同額とした。
提供:建通新聞社