新型コロナウイルス感染症の拡大防止や国土強靱(きょうじん)化を柱とする、政府の新たな経済対策案が明らかになった。気候変動を見据えた「流域治水」の推進や予防保全型のインフラメンテナンスへの転換など、官民の垣根を越えて防災・減災、国土強靱化に一体的に取り組み、災害に屈しない国土づくりを進めるとした。国土強靱化のための公共事業に必要な地方自治体の追加負担も軽減する。政府は、2021年度当初予算と20年度第3次補正予算を「15カ月予算」として編成、経済対策の財源とする。3次補正には公共事業費2・5兆円(国費)が盛り込まれる見通しだ。
新たな経済対策案は、4日に開かれた自民党の政調全体会議に示された。
経済対策は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、ポストコロナに向けた経済構造の転換、防災・減災、国土強靱化の推進を柱としてまとめる。このうち国土強靱化については「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(仮称)」を決定し、21〜25年度の5年間で事業費を15兆円とする対策の全体像も示す。
経済対策案では、気候変動を見据えた「流域治水」を推進すると明記し、河川、下水、砂防などの整備の他、ダムの事前放流や国有地を活用して遊水池・貯留施設も整備する。南海トラフ巨大地震や首都直下地震をに備え、住宅・建築物、学校などの耐震化も進める。
自然災害に被災しても速やかに復旧できるよう、高規格道路のミッシングリンクの解消と4車線化を進める他、直轄国道の防災対策も講じる。高規格道路の整備には財政投融資も活用する。重要インフラ(河川、ダム、道路、ため池、農業水利施設、学校など)の老朽化対策も進める。
ポストコロナを見据えた経済構造の転換に向け、デジタル改革にも力を入れる。スマートシティでまちづくりをデジタル化するとした他、インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)も推進。サプライチェーンの強靱化に向け、道路ネットワークの整備や国際コンテナ戦略港湾の機能強化も進める。財政投融資を活用し、都市再生や民間都市開発投資を促進する。
8日に閣議決定する経済対策や、11日にも決定する「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の初年度分の財源となる20年度第3次補正予算案には、公共事業費2・5兆円(国費)を計上する見通し。このうち、国土強靱化に関係する公共事業費は1・7兆円となる見込みだ。
提供:建通新聞社