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2020/12/01

CCUS 公共工事での活用拡大

 国土交通省は、2021年度から建設キャリアアップシステム(CCUS)活用工事の対象を拡大する方針を決めた。20年度から直轄工事で実施している「CCUS義務化モデル工事」と「CCUS推奨モデル工事」の対象を拡大するとともに、UR都市機構、水資源機構、高速道路会社が活用工事の実施を検討中。公共事業労務費調査でCCUS登録者の賃金実態も把握し、技能レベルに応じて技能者に賃金が支払われる仕組みも検討する。
 11月30日に開いた国交省幹部と建設業4団体との意見交換で、赤羽一嘉国交相=写真=が活用工事の対象拡大とCCUSに登録した技能者の賃金実態の調査・分析を指示したことを明らかにした。
 意見交換には、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体が参加。国交省と4団体は今年3月の意見交換で、CCUSの普及・活用に向けた官民施策パッケージをまとめ、22年度からの「あらゆる工事でのCCUS完全実施」を目指すことで一致した。
 赤羽国交相は11月30日の会合で、CCUSの普及・活用に取り組む各団体を支援するため、パッケージに盛り込まれた施策のうち、公共工事での活用を拡大する方針を表明。20年度の直轄工事では、WTO対象の一般土木工事を対象として、CCUSの活用状況に応じて工事成績を加点する「CCUS義務化モデル工事」と「CCUS推奨モデル工事」をそれぞれ約20件実施しており、21年度からこの対象工事を拡大する。
 都道府県にもCCUSを積極的に活用することを要請しており、すでに44都道府県が活用・検討する考えを示している。独立行政法人・特殊法人の中でも、公共工事の発注量の多いUR都市機構、水資源機構、高速道路会社が活用を検討しているという。
 この他、今年10月に実施した公共事業労務費調査を集計する際、CCUS登録者の賃金実態も分析。この分析結果も踏まえ、標準見積書を改訂して技能者のマネジメントフィーを別枠で請求できるようにし、CCUSに蓄積する技能と経験が技能者の賃金支払いに反映される仕組みを検討する。
 さらに、赤羽国交相は「このシステムを『業界共通の制度インフラ』として育て、定着させる」との意気込みを示した上で、現場での加入促進やカードリーダーの設置によって就業履歴の蓄積を徹底するよう、各団体に求めた。

提供:建通新聞社