厚生労働省の「賃金引き上げ等の実態に関する調査」によると、2020年に労働者1人平均の賃金の引き上げを実施したか、または予定している建設業の割合は95・0%だった。業種別では「電気・ガス・水道・熱供給」に次いで2番目に高い水準だったものの、前年の100・0%からは5ポイント下がった。建設業の一人平均賃金の改定額は6244円アップで、「学術研究、専門・技術サービス業」「鉱業、採石業、砂利採取業」に次いで3番目の水準。ただし、前年比では2017円ダウンとなった。
全国の15産業を対象に7月20日〜8月10日に調査し、1868社から回答を得た。建設業は常用労働者100人以上が対象となっている。調査項目は賃金表の改定(ベースアップ、ベア、ベースダウン)や、定期昇給(定昇)の有無、諸手当の改定、賃金カットの状況など。ベアや定昇、賃金カットの結果を勘案し、前年と比較して賃金が増えた場合に「引き上げ」、減った場合に「引き下げ」と記載している。
建設業のうち賃金カットを実施し、または予定している割合は1・3%で、全産業中で最も低かった。それでも、前年からは1・0ポイントのアップとなった。全産業では20年に10・9%の企業が賃金カットを予定している。
建設業の定昇制度を見ると、管理職については83・1%、一般職にについては87・3%が制度を整えている。
また、定昇制度がある企業のうち、一般職について「ベアを行った・行う」と回答したのは13・0%だった。47・4%はベアを行わず、39・6%は定昇とベアの区別がなかった。
夏の賞与の支給状況については、建設業では前年から支給率が6・1ポイント上昇し、100・0%の企業が支給したか、または予定していると回答した。
建設業のうち、労働組合がある企業は36・4%。このうち賃上げ要求交渉があった企業は71・9%だった。
提供:建通新聞社