建設トップランナー倶楽部(代表幹事・米田雅子慶応大学特任教授)は11月18日、同倶楽部幹事と国土交通省幹部との意見交換会を東京・霞が関の同省会議室で開いた。公共工事の平準化やICT化、働き方改革などについて活発に意見を交わした。
意見交換会では、冒頭、国土交通省の東川直正大臣官房技術審議官が、地域建設業の複業化や振興などをリードする同倶楽部の活動に敬意を表すとともに、「地域建設業は災害時に地域を支える重要な存在。担い手不足の中でいかに継続して活躍してもらい、国土を守っていくか」などと現状の問題認識を示した。その上で国交省が取り組む現場のICT化なども例示しながら、「地域建設業の皆さまにも協力をお願いしたい」とあいさつした。
天河宏文大臣官房審議官は、建設業の人材確保について、「建設業が果たしている役割にふさわしい認知が得られるよう努めたい」と、さまざまな施策を通じてバックアップしていく考えを改めて示した。
意見交換では、まず国交省の3人の担当官が「公共工事の品質確保を巡る最近の話題」「最近の建設産業行政について」「建設リサイクル推進計画2020」について最新の動向などを説明。これらも踏まえながら、地域の実情と今後の対応などについて議論を交わした。
同倶楽部の参加者からは、直轄と都道府県・市町村工事での取り組みの温度差を指摘する声が相次いだ。発注の平準化への取り組みや総合評価方式の導入、ICT施工・遠隔臨場の実施などについて、発注者による差異があることが受注者の取り組みの効率化を阻んでいるなどと指摘。これに対して国交省は、指導などの実情を説明するとともに、「引き続き自治体への対応や指導を広げていきたい」などと話した。
また、寒冷地での除雪作業について、複数の参加者が「担い手不足で数年後には対応が難しくなる」と危機感を示した。国交省は「大きな課題と認識している。除雪へのIT技術の導入なども含め、さまざまな方法を検討したい」と述べた。
当日の会議は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、会場とオンラインを併用。全国各地の会員がオンライン上で参加した。
提供:建通新聞社