国土交通省は、専門工事企業が技能者の技能レベルを見積もりに反映するための「標準見積書改定ワーキンググループ」を設置し、11月16日に初会合を開いた。建設キャリアアップシステム(CCUS)でレベル3・4の評価を受けた技能者の賃金にマネジメントフィーを上乗せして請求できるよう、職種別の標準見積書を改定。まず、先行する7職種の専門工事業団体が標準見積書を2020年度中に見直し、各企業に契約時に活用するよう促す。
CCUSでは、就業履歴と保有資格で技能者をレベル1〜4の4段階で評価し、このレベルに応じた技能者の処遇の実現を目指している。
国交省は、レベルに応じた賃金が支払われる前提として、専門工事業団体に職種別の「賃金目安」(年収ベース)の作成を要請しており、これまでに▽型枠▽機械土工▽内装仕上げ▽建築大工▽トンネル▽圧接▽基礎杭―の7職種で賃金目安が作成された。
国交省は、この賃金目安を踏まえ、専門工事企業が職長クラス(レベル3・4)のマネジメント能力に見合った賃金を支払えるよう、元請けにマネジメントフィーを請求できる環境を整備する。社会保険料の原資である法定福利費の請求に活用された標準見積書を改定し、見積書にマネジメントフィーを別枠で計上できるようにする。
ワーキンググループでは、マネジメントフィーの算定方法などを検討する。検討結果を踏まえ、7職種の各専門工事業団体が2020年度中に標準見積書を改定し、元請け団体も参加するWGで承認する。元請け企業が尊重できる見積もりの根拠を示し、元請け・下請け間の価格交渉に活用してもらう。
国交省は16日の初会合で、マネジメントフィーを「職長人工×技能労働者(レベル2相当)の標準単価×1人当たりのマネジメントフィー加算率」で算出する方法を提案。マネジメントフィー加算率は、一部のゼネコンが支給する職長手当や賃金目安における賃金比率(レベル2の賃金目安に対するレベル3・4の賃金目安の比率など)を踏まえて算定する。
契約単価にこのマネジメントフィー加算率を乗じて内訳を明示。標準見積書で別枠として計上できるようにする。
提供:建通新聞社