総務省と農林水産省は、全国に約6万3000カ所ある「防災重点ため池」について、地方自治体による防災対策の支援策を検討する。総務省が2020年度に創設した緊急浚渫推進事業債の対象に「防災重点農業用ため池」の浚渫を追加することや、堤体補強など防災工事の推進に向けて、国庫補助事業の地方負担分と地方単独事業に対する財政措置を拡充する。本年末をめどに方針を固める。
農業用ため池は全国約16万カ所に存在し、そのうち約半数が瀬戸内地域に分布している。近年、豪雨や地震による決壊が発生していることから、農水省は特に決壊時に家屋などに被害を及ぼす恐れのあるため池を「防災重点ため池」に指定。
19年に管理体制を強化する「ため池管理保全法」、20年には10年間で集中的に防災工事を促すための「ため池工事特措法」が成立したことを受け、21年度当初予算に防災重点農業用ため池の緊急整備に関わる予算を要求している。
総務省の緊急浚渫推進事業は、豪雨などによる氾濫を防ぐため、自治体が単独事業で河川などの緊急的な浚渫を行う経費について、地方債の発行を可能とするもの。農業用ため池や用水路網にも土砂が堆積しており、事業対象として追加を検討する。
ため池整備に対する地方財政措置を手厚くすることも考える。現在は補助率2分の1の国庫補助に加え、「防災・減災、国土強靱化3か年緊急対策事業債」により事業費の75%まで補助を受けられる。3か年対策が終わる20年度以降も自治体が積極的に事業を進められるよう、国庫補助事業、地方単独事業への措置を手厚くすることを検討する。
提供:建通新聞社