国土交通省は、既存住宅流通を活性化するため、長期優良住宅法と住宅瑕疵(かし)担保履行法を改正する方向で検討に入った。長期優良住宅は、共同住宅に対する基準を見直して認定を促進したり、2段階で認定できるようにして賃貸住宅などにも対象を拡大。建築行為を伴わない住宅を認定する制度も創設する。住宅瑕疵保険では、既存住宅の損害を補償する任意保険(2号保険)の普及・拡大も図る。
社会資本整備審議会に既存住宅流通の活性化や消費者保護を検討するための小委員会を設け、10月22日に初会合を開いた。初会合の冒頭、和田信貴住宅局長は、長期優良住宅法と住宅瑕疵担保履行法の制定から10年以上が経過しているとして、「既存住宅流通の視点で見直しを考えたい。最終的には法改正も含めて検討していきたい」と述べた。
長期優良住宅制度では、新築・増改築時に長寿命化や省エネの条件を満たした住宅を認定し、認定住宅に税制・融資での優遇や補助制度を適用する。19年度末時点で累計113万2284戸が認定を受けている。
認定住宅のほとんどが一戸建て住宅であることから、共同住宅(賃貸住宅、分譲住宅)の認定を促進するため、制度を見直す。共同住宅は、認定のボトルネックとなっている「劣化対策」「耐震性」「維持管理・更新の容易性」の基準を見直し。分譲マンションの入居者決定後の計画変更手続きも簡素化する。
賃貸住宅など幅広いニーズに対応するため、認定の水準を2段階にして対象を拡大。既存住宅の中にも認定を受けられるレベルの住宅があるため、建築行為(新築・増改築)を行わなくても長期優良住宅に認定できる新たな制度を創設する。
一方、住宅瑕疵保険には、リフォーム工事の請負契約を結んだ建設業者、既存住宅の買取再販の売買契約を結んだ宅建業者、個人間売買の検査業者・仲介業者などが加入できる2号保険がある。既存住宅流通・リフォームのトラブルに関する相談が増加する中、消費者保護の観点で2号保険の普及・拡大も図る。
小委員会は21年1月に法改正に向けた提言をまとめる予定だ。
提供:建通新聞社