財務省は10月19日、「財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会」を開き、今後の社会資本整備について「予算規模の量的拡大」よりも「優先順位を付けた配分の重点化」を推進する必要性を訴えた。人口減少下で1人当たりが負担する維持管理・更新費が一層増加するなどとして「維持更新コストの抑制」を図ることも求めた。
財務省は、人口減少で1人当たりのインフラの維持管理コストが増加する中、新規投資や維持管理コストのさらなる増加を避ける必要があると強調。ストックの集約・長寿命化への重点化によって、維持管理コストの増加を抑制する必要性を改めて訴えた。
具体的には、インフラ長寿命化基本計画に基づいて地方自治体が個別施設計画を策定する際、維持管理コスト縮減に向けた取り組みを十分に記載していないことを問題視。新技術の採用や集約・撤去といったコスト縮減の取り組みを個別施設計画に盛り込むことを国庫補助の要件とすることを求めた。
水災害の激甚化を踏まえ、流域全体で治水対策を進める「流域治水」に対しては、自治体・関係省庁の垣根を越えて被害軽減を推進するよう要請。治水対策と土地利用規制を組み合わせ、効果的に流域治水を進めるため、社会資本整備総合交付金と防災・安全交付金を有効活用することも求めた。
財制審は、歳出改革部会での意見を踏まえ、こうした考えを2021年度予算編成に対する建議に盛り込む。財務省は19日の会合で、公共事業の3月末の支出率が落ちていたり、次年度への繰越額が伸びているなどとして、建設業の労働需給がひっ迫しているとも主張しており、年末までの予算編成過程で公共事業費の削減圧力を強めるとみられる。
提供:建通新聞社