国土交通省は、『防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3か年緊急対策』の効果を事例集にまとめた。事業費7兆円を投じている緊急対策で整備した全国のインフラについて、災害発生時の被害軽減効果などを示したもの。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う民間投資の減少に対し、緊急対策が地域経済を下支えした効果も示している。
緊急対策では、2018年に発生した西日本豪雨の被害を教訓として、災害時にも重要インフラの機能を維持できるよう、予算を大幅に増額して集中的にインフラ整備を進めている。
事例集は、この緊急対策で整備したインフラを整備効果とともに紹介。例えば、昨年10月の東日本台風で被害を受けた多摩川(東京都、神奈川県)では、緊急対策の予算を使って河道掘削を緊急的に実施。計画高水位以下で洪水を流下させることが可能になった。
南海トラフ巨大地震で大規模な被害が想定されている名古屋港金城ふ頭地区では耐震強化岸壁を整備し、災害時の支援船の着岸を可能にする。18年に台風被害を受けた関西国際空港では、浸水被害を防止するための防災機能強化対策事業を進めている。
緊急対策は、20年度末に完了する見込みだが、全国知事会・全国市長会・全国町村会は、気候変動で自然災害の激甚化が進んでいるとして、対策の5年延長を政府に求めている。国交省も、21年度当初予算案の概算要求の中で、緊急対策の実績を上回る規模の予算を確保するよう、財務省に求めている。
提供:建通新聞社