国土交通省は、生産性を高める現場の創意工夫を工事成績で評価する「生産性向上チャレンジ工事」について、10月から原則として全ての直轄工事を対象に試行する方針を決めた。施工手順の工夫や既存技術の組み合わせなどの提案を施工計画書に盛り込むと、工事成績に最大0・8点を加点する。全工事での試行に合わせて事例集もまとめ、受注者に積極的な提案を促している。
生産性向上チャレンジ工事の対象工事では、施工計画書に生産性を高める現場の創意工夫と期待される効果を明記し、完成検査までに実施内容・効果を報告する。可能であれば、人員削減、作業時間削減などの定量的な効果も報告してもらう。
施工計画書に提案を盛り込むと、主任技術評価官の工事成績評定のうち、「創意工夫」の評価項目に加点する。定量的な効果を確認できると0・8点、定量的な効果を確認できなくても0・4点を加点される。
ただ、生産性向上チャレンジ工事は、2018年度に試行を開始し、19年度は143件を対象工事としていたが、実際に受注者から提案があったのは14件にとどまる。
国交省は10月から原則として全直轄工事を対象にするとともに、これまで加点された提案を事例集として整理。この事例集を参考として、受注者に積極的な提案を促す。
事例集には、昇降足場を2列に広くすることで作業員が安全帯や道具をひっかけずに通行でき、作業効率を向上させたPC上部工事の提案を掲載。この他、従来2人で行っていた杭芯測量作業の一部にICT技術を使うことで測量補助員を削減し、省人化によって約9万円を削減した橋梁下部工事を紹介している。
提供:建通新聞社