環境省は、6月に公布した改正大気汚染防止法で、建築物などの解体に先立つ事前調査を「一定の知見を有する者」が行うことが明確化されたことを踏まえ、建築物石綿含有建材調査者の人材育成を加速させる。調査者となるための講習機会の拡大や、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮したオンライン講習の実施に向けた方策を検討する。関連する告示を施行する2023年10月1日までに、一定の知見を有する者をおおむね30万人〜40万人育成することを目指す。21年度予算概算要求に盛り込んだ。
改正大防法では、規制対象を石綿含有成形板など全ての石綿含有建材にまで拡大。また、一定規模以上の建築物などについては、石綿含有建材の有無に関わらず事前調査結果の都道府県への報告を義務化した。さらに、事前調査を行う「一定の知見を有する者」として石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者を位置付けた。不適切な事前調査による石綿含有建材の見落としが発生している現状を踏まえ、石綿の飛散・ばく露防止に向けて実効性ある体制を構築する。
既に講習を受講し、建築物石綿含有建材調査者となった者は19年度時点で約1500人。環境省は、講習制度を共管している国土交通省、厚生労働省とともに、登録している講習機関のさらなる確保や、講習数の増加、感染症の拡大防止に配慮した講習の在り方などを検討していく。
解体工事業者を中心とした工事受注者、都道府県に対し、説明会や講習会を通じて改正法の趣旨を周知していく。国民や、建築物の所有者である事業者など、解体工事の発注者となり得る層にも制度の趣旨を説明し、理解を促す。比較的、小規模なリフォーム工事でも法規制の対象が増えることが見込まれるため、関連する業界への周知を急ぐ。
また、年間約188万件にもなると見込んでいる事前調査の結果を自治体などに円滑に報告するため、電子報告システムの整備にも予算を要求。環境省と厚労省で連携し、報告制度が運用を開始する22年度から運用を開始す
提供:建通新聞社