2020/10/06
官公需基本方針 中小との契約を60%に
政府は、国や自治体などの公共機関が発注する工事や設計・調査業務、役務などの「官公需」について、中小企業・小規模事業者との契約比率を国全体で前年度比5・9ポイントアップの60・0%とすることを決めた。中小事業者などの受注機会確保のための「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」に盛り込んだ。
新型コロナウイルス感染症の拡大による社会経済状況の激変を踏まえ、中小企業などに対し、これまで以上に配慮が必要と判断した。今回の引き上げにより、20年度に目標としている中小・小規模事業者との契約金額は約4兆7449億円となる。
基本方針ではこれに加えて、創業10年未満の中小企業、小規模事業者との契約が占める比率を3%を目標とすることも盛り込んだ。19年度実績は1・06%(契約実績880億円)で、まずはこの実績を上回るよう努める。15〜19年度の契約比率の平均は1・27%となっている。
20年度から導入する新たな措置としては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に対応するため▽実勢価格を踏まえた適正な予定価格の設定▽納期・工期の柔軟な対応▽代金の迅速な支払の徹底―を盛り込んだ。
また、ことし4月に改正民法が施行されたことを踏まえ、官公需契約において債権譲渡の積極的な活用を促進することを明記。これにより、中小企業・小規模事業者の資金繰りを改善させる。
さらに、最低賃金額の改定を踏まえた予算を契約時点で確保することや、あらかじめ見直し条項を定めることで単価の改正を適切に担保することを盛り込んだ。
この他、知的財産権の全部または一部を発注者が譲り受けず、受注者に帰属させる「コンテンツ版バイ・ドール」の活用を積極的に推進することとした。