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2020/10/01

著しく短い工期 判断の視点は長時間労働

 国土交通省は9月30日、建設企業が順守すべき取引ルールを定める「建設業法令遵守ガイドライン」を改訂した。ガイドラインでは、改正建設業法で禁止した「著しく短い工期」の判断の視点として、単に定量的な期間の短さではなく、工期短縮が長時間労働を引き起こしているかに着目。2024年4月に適用される時間外労働の上限規制を上回る違法な労働時間を前提とする工期は、元請け・下請け間、受発注者間の合意があっても「著しく短い工期」と判断するとの見解を示した。
 きょう10月1日の改正建設業法の施行に伴い、元請け・下請け間と受発注者間のルールを定めた建設業法法令遵守ガイドラインを改訂した。
 改正建設業法では、通常必要と認められる期間と比べ、「著しく短い工期」での請負契約を禁止。「駆け込みホットライン」などに通報があり、この規定に違反した注文者(発注者、元請け、上位下請)に対し、許可行政庁が勧告を行うことができるようになる(建設業者には指示処分も可能)。
 国交省は、工期に与える施工環境・施工技術・労働者数などの影響が一定だとすると、短工期と長時間労働に相関関係があると想定=図参照=。改正建設業法を適切に運用するためには、工期短縮が長時間労働などの不適正な状態を生じさせるかに着目する必要があるとした。
 こうした前提を踏まえ、ガイドラインでは、著しく短い工期の判断の視点を明示。「工期に関する基準」「過去の同種類似工事の工期」「下請負人が見積書で示した工期」と比べて工期が短い場合、元請け・下請けが違法な長時間労働などの不適正な状態で施工しているかを確認するとした。
 判断材料としては▽見積もり依頼の際の発注者の条件▽契約内容▽見積内容▽受注者が著しく短い工期と認識する考え方▽契約締結の事情▽工期に関する発注者の考え方▽賃金台帳―などを上げている。
 さらに、改正労働基準法の時間外労働時間の罰則付き上限規制が24年4月1日に建設業に適用された後は、この上限規制を上回る違法な時間外労働を前提とする工期の場合、発注者・元請け間、元請け・下請け間の合意があっても、著しく短い工期と判断するとの考えも示している。

提供:建通新聞社