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2020/09/18

点検技術者の資格制度創設を検討

 国土交通省は、道路施設の定期点検の質を確保するため、2020年度から点検技術者の資格制度創設の検討に入る。資格保有や研修受講の実績がない技術者が点検した橋梁は全体の4割に上っており、新たな資格を保有する技術者を増やし、点検精度を向上させる。橋梁・トンネルの定期点検には、19年度から非破壊検査や画像計測などの点検支援技術も活用できるようになっており、資格制度を創設して最適な技術を選択できる点検技術者を育成する。
 14年度に道路管理者に義務付けられた橋梁・トンネルの定期点検(5年に1度)は18年度末までに一巡した。点検対象は、道路橋約70万橋、トンネル約1万本に上り、国交省は二巡目に入った19年度から画像計測や非破壊検査、20年度から計測・モニタリング技術の点検支援技術の活用を認めるなど、定期点検の合理化・効率化を図っている。
 一方で、点検技術者の技術力向上が今後の課題となている。国交省は、道路管理の実務者向けに研修・講習会を開いている他、点検関連の民間資格を登録する「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」を運用しているが、全ての地方自治体や点検業務を受託する建設コンサルタントが活用しているわけではない。
 国交省の調べによると、19年度に全国の道路管理者が定期点検を行った橋梁10万2011橋のうち、管理者が直営で点検した1万6496橋の47%、点検を外部委託した8万5515橋の40%は、研修を受講したことがなく、民間資格もない技術者が点検を行っていた。
 道路法施行規則では、定期点検を「知識及び技能を有する者」が行うと規定し、定期点検要領でも実務経験や資格のある技術者が担うことを推奨しているが、法令上は資格保有を求めていない。
 国交省は、19年度から活用を認めた点検支援技術の活用範囲を広げ、施設ごとにさまざまな技術を組み合わせることにより定期点検の合理化を図りたい考えで、点検支援技術を構造部材・部位・損傷に応じて選択できる判断基準を整理する。
 新たな資格制度の保有者には、この判断基準を踏まえて最適な点検手法を選択できる知識を求める。20年度から資格制度の検討に着手し、三巡目の定期点検が始まる24年度からの活用を目指している。

提供:建通新聞社