中小企業庁は、約束手形の支払条件の改善に向けた検討会を9月14日に開き、手形の振り出しから現金化までの期間(手形サイト)について、一律に60日以内とするよう産業界に求める方針を示した。関連する通達を2020年内にも改正する考え。新型コロナウイルス感染症の影響により悪化している中小企業の資金繰り改善につなげる。前回(16年)の通達時には、建設業でも中企庁からの通達を受け、「建設業法令遵守ガイドライン」の中で同様の支払条件を設定するよう求めた。
中企庁は16年に、手形サイトについて120日以内を前提とした上で、「将来的には60日以内とするよう努める」との通達を発出。産業界に対し、自主行動計画の策定やフォローアップ調査を通じて段階的な手形サイトの短縮に取り組むよう促してきた。
手形の受取側に当たる企業の多くが支払サイトのさらなる短縮を求めている現状を踏まえ、通達の見直しを検討。手形サイトについて「業種に関わらず60日以内とするべき」と明記する方針を固めた。
この方針は下請法の対象となる取引に適用するもので、建設業の場合は建材や建設機械の購入などが該当する。建設業法上の元下関係については、国土交通省が中企庁からの通達を踏まえ、建設業法令遵守ガイドラインの中で同様の支払条件を設定するよう求めている。
国交省が建設業を対象に行った下請取引に関する19年度の実態調査では、手形サイトの設定期間は「61日以上120日以内」の企業が全体の89・7%を占めており、今回示された「60日以内」とした建設企業は4・5%にとどまっているのが現状だ。
このほか検討会では、手形を満期前に現金化する際に金融機関に支払う割引料の大半を受取人が負担している現状についても議論。振出人が負担することが望ましいという考え方を踏まえ、中企庁は、下請代金の支払に手形を使用する際に「本体価格分と割引料相当額を分けて明示すべき」と通達に記載する方向性を示した。
ただし、支払条件の大幅な転換につながることから、支払側の資金繰りが急激に悪化することのないよう、3年程度の周知期間を経過措置として設ける。新型感染症により経済状況が急激に悪化している現状を踏まえ、具体的な施行時期を判断する。
提供:建通新聞社