厚生労働省は、労働基準監督署が2019年度に長時間労働が疑われる事業場に対して行った監督指導の結果をまとめた。建設業では、2881事業場の監督指導を行い、このうち労働基準関係法令への違反があった2271事業場(78・8%)に是正勧告書を公布した。
建設業の監督指導の状況を見ると、最も多かったのは労働時間に関する法令違反だった。1422の事業場で、三六協定のないまま時間外労働を行わせたり、協定で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせるなど、違法な時間外労働が見つかった。
次いで多かったのは▽健康診断を行わない▽労働時間を適切に把握していない―といった健康障害防止措置に関する法令違反で、475事業場で確認された。
また、割り増し賃金を支払わずに残業させるなど、賃金不払い残業に関する法令違反も305事業場であった。
監督指導は、さまざまな情報提供により、時間外労働や休日労働が1カ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死などの労働災害補償保険(労災保険)の請求が行われた事業場を対象に実施した。
全業種では、19年度に3万2981事業場で監督指導を実施し、このうち2万5770事業場で法令違反が見つかった。主な違反内容は、違法な時間外労働が1万5593事業場で、監督指導の対象となった事業場の47・3%を占めた。次いで、過重労働による健康障害の防止措置の未実施が6419事業場(19・5%)、賃金不払い残業が2559事業場(7・8%)だった。
提供:建通新聞社