国土交通省、建設業振興基金、建設業団体でつくる建設キャリアアップシステム(CCUS)運営協議会は9月8日の総会で、CCUSの料金改定を決定した。改定後の新料金=表参照=は、事業者登録料・現場利用料・ID利用料を10月1日から、簡略型・詳細型の2段階登録方式を採用する技能者登録料を2021年4月1日から適用する。加えて、社会保険加入情報の審査を簡素化したり、コールセンターや郵送申請を廃止することで、10年間で70億円のコストを削減するとしている。
CCUSの運営主体である建設業振興基金の累積赤字は19年度末時点で56億7000万円、20年度末までに約100億円に上る見通し。技能者・事業者登録数が当初の想定を大きく下回っていることに加え、審査コストが利用料金を上回り、運営費を賄えない状態に陥っている。
国交省と振興基金はまず、料金の引き上げとコスト縮減により、こうした赤字体質からの脱却を目指す。ただ、事業者・技能者のCCUSへの加入意欲を妨げず、現場利用を重視した料金体系となるよう、登録料の値上げを抑えつつ、現場利用の値上げ幅を高くする。
資本金に応じて設定する事業者登録料(3000円〜120万円)は、全階層で現在の2倍に、現場利用料はカードタッチ1回当たり3円から1回当たり10円に、管理者IDの取得に必要なID利用料は月額200円から950円に値上げする。10月1日から適用する。
技能者登録には、21年4月1日から「2段階登録方式」を導入する。登録情報を本人情報・所属先事業者情報・社会保険・建退共加入状況などに限定する「簡略型登録」の登録料は、現在のインターネット申請と同じ2500円に据え置く。
技能者のレベルアップに必要な保有資格や研修受講履歴を登録する「詳細型登録」は登録料を4900円とし、簡略型から詳細型に移行する場合には差額の2400円の支払いを求める。
利用料金の引き上げと合わせ、登録・審査手続きの見直しによって10年間で約70億円のコストを削減。コールセンターを廃止し、現場登録や申請時の問い合わせにはメールで対応する。郵送での申請も廃止し、郵送申請を受け付ける都道府県建設業協会窓口の今後の在り方も検討する。
利用料金の引き上げと審査コストの削減によって運営上の収支を改善する一方、20年度中に16億円が必要な追加開発費は建設業団体からの出捐(しゅつえん)金の追加で補う。8日の総会では、当初の開発費を負担した建設業団体に出捐の追加を要請。各団体の機関決定を待ち、国交省・振興基金が個別に調整する。
提供:建通新聞社