国土交通省と総務省は、2021年度の予算編成で債務負担行為を積極的に設定するよう、文部科学省や農林水産省など6省庁を通じて都道府県・市区町村の事業部局に要請する。事業部局が予算を抱える公共工事について、所管省庁を通じて地方自治体の事業部局に債務負担の活用を求め、入札契約担当部局、財政担当部局との部局横断で施工時期の平準化に取り組んでもらう。
9月3日、国交省・総務省の連名で▽警察庁(警察施設)▽文部科学省(学校施設)▽厚生労働省(上水道)▽農林水産省(農業土木)▽経済産業省(工業用水道)▽環境省(廃棄物処理)―の6省庁に通知した。各省庁の公共工事関連の予算を所管する都道府県・市区町村の事業部局に対し、債務負担の積極的な活用を要請してもらう。
国交省・総務省では、これまでも自治体の契約部局、財政部局、土木部局に対し、債務負担を活用した施工時期の平準化を要請してきたが、土木部局以外で公共工事予算を持つ事業部局に対しても、所管省庁を通じて施工時期の平準化を働き掛ける。
各自治体の事業部局が21年度予算に公共工事費を要求する場合、施工時期の平準化を図るために債務負担を設定するよう求める。財政担当部局、契約担当部局には同日に、国交省・総務省が直接要請しており、各部局が連携して平準化に取り組んでもらう。21年度予算の編成後、総務省が各自治体の債務負担の活用状況をフォローアップする。
施工時期の平準化は、品確法改正で公共工事の発注者の責務に位置付けられた。改正入札契約適正化法の適正化指針では、工期1年未満の工事への債務負担の設定を求めており、年度をまたぐ工期を設定できる工事を増やし、施工時期の平準化を実現させる。
国交省の調べによると、工期1年未満の工事に債務負担を設定したことのある自治体は、都道府県・政令市では82・1%と8割を超えるが、人口10万人以上の市区では37・1%、人口10万人未満の市区町村で25・0%となっており、今後の市区町村の積極的な対応が必要になる。
提供:建通新聞社