国土交通省は、2025年度までに全ての直轄事業へBIM/CIMを原則適用するためのロードマップをまとめた。20年度中に制定する「3次元モデル成果物作成要領」で、後工程で活用できる3次元モデルの要件を規定。21年度に大規模構造物の詳細設計、22年度に大規模構造物の工事、23年度に全ての工事・設計にBIM/CIMを原則適用する。工事ではまず、3次元モデルによる設計図書の照査と施工計画の検討を求める。
直轄事業では、12年度からBIM/CIMの活用が始まった。19年度の活用件数は361件(工事107件、設計業務254件)、12〜19年度累計の活用件数は991件(工事446件、設計業務545件)となった。
国交省はこうした実績を踏まえ、23年度までに全ての直轄事業(一般土木・鋼橋上部、小規模を除く)へBIM/CIMを原則適用する目標を今年2月に設定。9月1日に開いた「BIM/CIM推進委員会」では、この目標の達成に向けて段階的に適用範囲を拡大するためのロードマップ=表=を提示した。
ロードマップでは、20年度に原則適用した大規模構造物の予備設計を皮切りとして、前工程のBIM/CIMで作成した3次元モデルを後工程に活用する流れを構築。20年度中に「3次元モデル成果物作成要領」を定め、3次元モデルの成果物として納品する際の要件を明確にする。
要領では、当面2次元図面と3次元モデルの納品を求めるが、従来の2次元図面の全ての内容を3次元モデルとはしない。受注者の負担を軽減するため、4次元施工計画、3次元モデルから切り出した2次元図面、構造物外形など、「設計意図伝達」「設計照査」「施工段階の出来形検査」に限定した納品の要件を定める。
また、2次元図面の後に3次元モデルを作成するのではなく、3次元モデルから出力した2次元図面に注記・寸法を追加して2次元図面を作成する方針を明記する。
22年度に原則適用する工事では未経験の企業に配慮し、詳細設計で作成した3次元モデルを使用した設計図書の照査、施工計画の検討に活用範囲を限定。3次元データを一元的に集約する「国総研DXセンター」を設置し、ソフトを持たない企業もビューワや編集ソフトを無償で利用できるようにする。
提供:建通新聞社