国土交通省は、技術検定の不正受験を防止するため、受験者に受験資格である実務経験のチェックリストの記入と提出を求める。実務経験を偽る不正受験が相次いで発覚したことを受けた再発防止策の一つとして、2021年度からの実施を検討している。複雑な実務経験の算定方法を周知するため、「受験の手引き」の改訂も行う。さらに市販の対策本の模範解答で合格できるとの指摘を踏まえ、現場経験をより確認できる実地試験へと試験問題を見直すことも検討する。
国交省は、実務経験を偽った不正受験が相次いで発覚したことを受け、8月に「技術検定不正受検防止対策検討会」を発足。検討会が10月下旬まにまとめる提言を踏まえ、早ければ21年度試験から再発防止策を適用する。
8月31日に開いた検討会の2回目の会合で、再発防止策の一部を提案し、有識者らと意見を交わした。
このうちチェックリストは、受験申請・審査時の対策として、受験者個人に記入・提出を求める。技術検定の受験資格である実務経験は、異なる種目で実務経験を重複してカウントできないなど、複雑な算定ルールがある。国交省は、受験者本人がこのルールに沿って実務経験を算定しているか確認するためのチェックリストを作成。受験申請の際にリストを提出してもらい、審査側も確認できるようにする。「受験の手引き」も分かりやすく見直し、実務経験の算定ルールの周知・徹底を図る。
不正が発覚した企業が社員の実務経験を適切に管理していなかった事実を踏まえ、受験者を雇用する企業には技術者個人の工事経歴の記録・管理も求める。転職した技術者の旧所属での実務経験の確認方法も引き続き検討する。
実務経験に不備のある受験者も、市販の対策本の模範解答を暗記し、解答すれば合格できるとの指摘もあったため、試験問題の見直しも検討。特に実地試験の論文形式の試験問題を、現場経験をより確認できる形に見直す。
8月31日の会合ではこの他、データベースを活用した実務経験の証明、受験申請の電子化なども議論した。10月上旬に開く3回目の会合では、不正を働いた受験者・企業に対するペナルティーの強化について話し合う。
提供:建通新聞社