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2020/08/27

掛金10円引き上げを了承 労政審部会

 厚生労働省の労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会(部会長・内藤恵慶應義塾大学法学部教授)は8月26日、建設業退職金共済制度の掛金日額を現行の310円から10円引き上げ、320円とすることを適当と認めた。今後、勤労者退職金共済機構建設業退職金共済事業本部(建退共)の運営委員会での決議を経て、厚生労働大臣の認可を受け決定する。2021年10月から引き上げる予定。また、退職金額に関する予定運用利回りについて、現行の3・0%から1・3%へと引き下げることも了承した。同じく、21年10月をめどに実施する。
 掛金日額の引き上げと予定運用利回りの引き下げは、建退共の今後の財政状況の悪化を避けるために実施する。建退共の純資産である累積剰余金は、前回の財政検証時(14年)の約868億円から19年度末には約640億円にまで減少。もともと国債の金利引き下げによる運用収入の低下の影響を受けていたことに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による金融市場の動揺もあり、今後も引き続き減少が見込まれるという。
 部会では、建設労働者の処遇改善を引き続き進め、民間工事での建退共制度を一層普及させるため、退職金の水準の確保を必要とする方針を了承。制度の魅力を維持しながら安定的に運営するため、掛金日額の引き上げと予定運用利回りの引き下げを適当と認めた。
 また、部会では、これらに合わせ、共済手帳に共済証紙を貼って掛金を納付する現行の方法に加えて、新たに電子申請方式を追加することを報告。試行実施に向けて、8月31日まで参加企業(元請)の募集を行っていることを説明した。
 電子申請方式では、インターネットを経由して掛金を納める。共済契約者は、従来の証紙に代わり、インターネットやATMを使った支払サービス「ペイジー」を活用して退職金ポイントを購入、共済掛金の原資を支払う。インターネット上の電子申請専用サイトを介してファイルをやりとりし、就労実績の報告と掛金納付を行う。元請は工事情報、下請は就業履歴を建設キャリアアップシステム(CCUS)からダウンロードして就労実績を取り込むこともできるようにする。
 10月1日以降に試行実施を始め、2021年3月中に本格運用を開始する。

提供:建通新聞社