国土交通省は、建設現場の生産性を高めるi−Constructionで、ICT施工を構造物工に拡大する方針を決めた。直轄工事の構造物工(橋梁下部工など)の施工管理や出来形管理に3次元データを活用するための技術基準を2020年度中に整備する。施工段階で作成した初期形状の3次元データを活用し、構造物の維持管理を効率化することも期待できるという。
8月4日にi−Construction推進コンソーシアムの企画委員会を開き、20年度に取り組む施策の一つとして構造物工にICT施工を拡大する方針を示した。
ICT施工は、土工、舗装、河川浚渫、地盤改良などの工種に適用。19年度は直轄工事1890件で実施し、初年度(16年度)の3・2倍に増加した。ICT施工の受注実績がある企業も初年度の3・6倍に当たる1450社に増加している。
20年度は新たに構造物工の技術基準を整え、ICT施工の適用工種を拡大する。橋梁下部工などのコンクリート構造物の工事で、起工測量、施工用データ作成、契約図書照査、数量確認・変更などに3次元データを活用する。ドローンなどで形状を取得し、出来形計測の効率化も図る。
また、配筋確認に3次元データを活用し、ステレオカメラによる撮影で鉄筋間隔、鉄筋径を確認する他、遠隔からもクラウドで検査結果をリアルタイムで確認できるようにする。
施工段階で構造物と構造物周辺の点群データを取得しておくことで、周辺地形の変化や法面の崩落、地盤沈下などを経年で把握。初期形状からの経年変化を確認できるようになり、維持管理も効率化できる。
20年度はこの他、経営者にICT施工の理解を深めてもらうための講習会を開催するなど、中小建設業への普及も拡大させる。23年度に全ての公共事業にBIM/CIMを適用するため、3次元データ活用の研修プログラムを作成したり、地方整備局に受発注者向けの人材育成センターを設置する。
「一般土木の生産性8・9%向上」
国交省は、i−Constructionによって25年度までに建設現場の生産性を2割向上させる目標を定めており、直轄工事の生産性向上の効果をICT土工を例に試算し、4日の企画委員会に報告した。
生産性向上の指標は「ICT土工の実施率×ICT土工による延べ作業時間縮減効果」とし、ICT土工の実施前と比べ8・9%の上昇効果があったとした。
提供:建通新聞社