国土交通省は、直轄工事のコンクリート工の生産性を高めるため、特殊車両通行許可を受けたトレーラ(特車)で運搬できる中型・大型構造物に原則としてプレキャスト製品を採用することを促進する。合わせて、現場打ちとプレキャスト製品の採用を比較検討する際に、価格換算できない安全性などの要素を取り入れることも検討する。
有識者や関係団体を集めた「コンクリート生産性向上検討協議会」を7月31日に開き、こうした考え方を示した。
国交省は、建設現場の生産性を高めるi−Constructionの一環として、コンクリート工の規格を標準化したプレキャスト製品の導入を進めている。
ただ、直轄工事のプレキャスト使用率(ボックスカルバート)を見ると、小型構造物(内空断面4平方b未満)は95%と使用率が高いが、中型(同6・25〜12・25平方b)で49%、大型(同16・0平方b以上)で13%と、中型以上の使用率が低い。
国交省は、中型・大型構造物にプレキャスト製品を使用する場合、現場での接合が必要になるが、接合部の技術基準が整備されていないことが要因の一つだとみている。
そこで接合部の技基準を検討する一方、特車で運搬可能なサイズでは、原則プレキャスト化を図る方針を示した。具体的には、特車による輸送が可能で現場接合の必要のない、ボックスカルバートで「幅3b×高さ3b×長さ2b」、L型擁壁で「高さ5b×底版長3b×幅2b」までの規格については、原則としてプレキャスト製品を採用する。
今後、現場周辺の車両通行状況などプレキャスト製品を採用する際の条件を固め、各地方整備局に通知する。
「工法選定に価格以外の要素」
さらに、プレキャスト製品と現場打ちコンクリートを比較する際、価格以外の指標を検討する。プレキャスト製品を使用した場合、仮設費などを加えた全体工事費での価格差は小さくなるが、直接工事費は依然として現場打ちコンクリートの方が割安になる。一方で、現場施工を伴わないプレキャスト製品は、工事の安全性を高めたり、施工期間を短縮できる効果が期待できる。こうした価格以外の要素を踏まえて工法選定ができないか、工法の比較手法を検討する。
提供:建通新聞社