建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用料金の値上げなど財源対策への対応に関して全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は、7月31日に開かれるCCUS運営協議会の運営委員会で示される料金改定案に対して、8月5日の理事会で全建としての方針を固める方針だ。7月15日に開いた全建の全国専務・事務局長会議では、今回の問題に関する国土交通省側の説明に対して参加者からは、「CCUSの意義とメリットを整理すべき」「対策に国費を投入できないか」などといった声が上がった。財源対策に合わせ、利用者のメリットなどCCUSの改善を求める意見が目立った。
2019年4月に本格運用が始まったCCUSは、審査・登録費用が当初の想定を上回った他、システムの追加開発が必要になったため、2020年度末の累積赤字が100億円に膨らむ見通し。財源対策として国交省はこれまでに、CCUS運営協議会の運営委員会の場で、利用料金の引き上げや、開発費への関係団体からの追加出捐(しゅつえん)を提案している。10月1日に料金改定を行う予定だ。
7月15日に開いた全建の全国専務・事務局長会議にも、国土交通省と、CCUSを運営する建設業振興基金の担当者が訪れ、CCUSの収支の現状や、利用料金の値上げなど対策案を説明した。
CCUSのメリットに関する意見に対して国交省側からは▽CCUSのゴールドカード保有者に対する建退共の日額掛金の450円程度への引き上げ▽直轄のモデル工事での、カードリーダー設置など必要経費の別枠計上▽職長に対する手当の導入―などを案として示した。
また、国費の投入に関しては、システム開発費への投入は難しいものの、新型コロナウイルス感染症対策とも合わせ、顔認証や、スマートホンによる入退場管理など、業務の合理化を検討していく方針を説明した。
さらに、CCUS運営協議会の運営委員会を四半期ごとに開催し、運営状況をチェック、問題が見付かれば速やかに対処していく考えを示した。
これまで20億円としていた追加の出捐金についても引き下げる方向で検討しているという説明があった。
今後、7月31日にCCUS運営協議会の運営委員会、8月7日にCCUS運営協議会の総会が開かれる。全建ではこの日程をにらみ、8月4日に労働委員会、翌5日に理事会を開き、利用料金の根上げに対する全建としての考え方を固める。
7月31日のCCUS運営協議会の運営委員会では、追加の出捐金についても改めて方向が提示される見込み。全建では、出捐金に関しても9月に開く労働委員会と理事会で審議する。
提供:建通新聞社