国土交通省は、7月7日に開いた建設キャリアアップシステム(CCUS)運営協議会の運営委員会で、CCUSの技能者登録に「2段階登録方式」を導入することを提案した。技能者登録時に保有資格情報の登録を求めない「簡略型登録」を取り入れ、能力評価を受けたい技能者が保有資格を追加登録できるようにし、審査費用を約50億円圧縮する。これにより、6月の運営委員会に提案していた登録料の引き上げ幅を縮小させる。
CCUSをめぐっては、審査・登録費用が当初の想定を上回った他、システムの追加開発が必要になったため、2020年度末の累積赤字が100億円に膨らむ見通しであることが明らかになった。国交省は6月24日に開かれた運営委員会で、赤字を解消する利用料金の引き上げを提案していた。
この提案に対し、建設業団体は「技能者登録料の引き上げが加入のブレーキになる」「登録申請の敷居を低くするために審査項目を限定すべき」などと指摘。こうした声を踏まえ、国交省は7日の運営委員会に新たな料金見直し案=表参照=を提示した。
新たな見直し案では、本人確認(社会保険など)、所属事業者、建設業退職金共済の加入状況などに限定した「簡略型登録」を設け、それ以外の保有資格や研修受講履歴を登録する「詳細型登録」との2段階で技能者登録できるようにする。
審査費用が圧縮される簡略型登録料は現行の2500円で据え置き、詳細型登録は実費を考慮して今後決めるとした。
資本金に応じて徴収する事業者登録料は、一律で現行の5倍とすることを提案していたが、現行の2倍へと引き上げ幅を縮小する。
技能者登録、事業者登録の引き上げを抑制する代わりに、技能者のカードタッチ1回で3円を徴収している現場利用料は、当初の提案である6円から10円にさらに引き上げる。カードタッチの実績に応じて事後精算している現場利用料は、請負代金に一定の率を乗じて事前に請求することも検討する。全ての登録事業者が負担する管理者ID利用料も1ID当たり月額200円から800円に引き上げる。
国交省は、今後も運営委員会を開いて関係者に引き上げへの理解を求める。7日に提案した2段階登録方式はシステム改修が必要になるため、21年度早期に適用、それ以外の新料金は10月に適用したい考えだ。
提供:建通新聞社