国土交通省がまとめたICT施工の実施状況=表=によると、2019年度にICT施工を実施した直轄工事は1890件となり、前年度より786件増えた。対象工事に対する実施率は79%となり、前年度比で22ポイント上昇している。都道府県・政令市の実施件数も1136件と前年度から倍増した。ただ、直轄工事のC等級の企業の半数はICT施工を未経験で、国交省は引き続き中小建設業への普及に力を入れるとしている。
直轄工事で19年度にICT施工を導入していた土工、舗装工、浚渫工、浚渫工(河川)、地盤改良工の5工種の実施件数を集計した。
ICT施工の対象工事として公告した2397件のうち、ICT施工を実施した工事は1890件だった。
実施率のこれまでの推移を見ると、初年度の16年度は36%、17年度は42%、18年度は57%、19年度は79%で、ICT施工を希望する受注者の割合が年々高まっている。実施件数の最も多いICT土工の受注者を対象に毎年度行うアンケート調査でも、起工測量から納品に至る延べ作業時間の縮減効果は平均で34・8%減となった。
しかし、直轄工事を受注している中小建設業の中でも、依然としてICT施工の受注実績のない企業が多い。直轄工事の「一般土木工事」の受注実績があり、ICT施工を受注したことのある企業は、A等級が93・5%、B等級が89・8%と高いが、C等級になると50・9%まで下がる。
25年度までに建設現場の生産性を2割高める目標を掲げている国交省は、中小建設業が取り組みやすい受注環境を整え、ICT施工の普及拡大を進める。20年度は、起工測量から電子納品までの一部での3次元データ活用を認める「簡易型ICT活用工事」を導入。これまでは起工測量から納品まで3次元データを一貫して活用することを求めていたが、工程ごとに受注者が選択できるようにする。
また、小規模な工事の採算性の改善にも引き続き取り組む。20年度からは、標準のICT建機を搬入できず、施工土量5000立方未満の小規模なICT土工では、標準積算ではなく、見積もりを活用できるようにした。
提供:建通新聞社