2020/06/16
建退共の履行強化 電子申請で事務効率化
国土交通省は、2021年度に開始する建設業退職金共済(建退共)の履行確認の強化と電子申請方式の大枠を明らかにした。技能者に建退共の掛金を確実に給付するため、公共工事の発注者が掛金納付と掛金充当を確認する仕組みを構築。納付の方法として、「証紙方式」と「完全電子申請方式」を設けるが、このうち現場入場する全ての事業者・技能者が建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録する「完全電子申請方式」では、CCUSの登録データを活用して発注者の確認手続きを簡素化したり、掛金納付の事後精算を認めるなど、元請けの建退共事務の効率化を認める。
国交省は、証紙で掛金納付を管理する現在の建退共について、元請けが購入した証紙が過少に交付され、技能者の退職金に適正に充当されていないことを問題視。まず公共工事において、発注者が掛金納付額と充当状況を確認する履行強化を図る。
証紙方式を選択する元請けは、掛金収納書に掛金購入額の根拠を記載し、契約後1カ月以内に発注者に提出する。施工中も工事別受払簿と就労状況報告書を提出する必要がある。完成時には掛金充当実績総括表も提出し、発注者が収納額と実績との乖離(かいり)をチェックする。
CCUSを活用した完全電子申請方式では、こうした発注者からの履行確認が簡素化される。まず、元請けは、施工体制台帳に記載する全ての下請け企業と、作業員名簿に記載する全ての技能者がCCUSに登録している「誓約書」を発注者に提出する。
証紙方式だと事前に概算で証紙を購入する必要があるが、CCUSの就業履歴を活用する完全電子申請方式は事後精算となり、余分な掛金収納が不要になる。
CCUSの就業履歴を掛金充当の確認にも活用するため、証紙方式で「契約後1カ月以内」としている掛金収納書は、「完成後1カ月以内」での提出が認められる。
国交省は、こうした公共工事における建退共の履行の強化、CCUSを活用した電子申請方式の具体的な取り扱いを決定し、今夏に発注者や建設業団体に通知。21年度から運用を開始する。23年度からは、民間工事でも完全電子申請方式を原則化することを目指している。
提供:建通新聞社