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中央ニュース

2020/06/16

雇用保険未加入 「労働者性」の実態確認

 国土交通省は、今夏に「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」を改訂し、雇用保険に未加入の個人事業主が現場に入場した場合に、「労働者性」の実態を確認するよう元請けに求める。社会保険料の支払いを逃れる、いわゆる偽装一人親方≠フ発生を抑制するのが狙いで、雇用保険に加入していない作業員が個人事業主であった場合、下請け企業として施工体制台帳と施工体系図に正しく記載するよう求める。実態が雇用労働者である一人親方とは早期に雇用関係を結び、社会保険に加入させることを改めて明確に規定する
 一人親方は、国民健康保険か建設国保、国民年金に加入する必要はあるが、個人事業主であるために雇用保険への加入は求められない。
 ただ、社会保険加入の企業負担を逃れるため、本来は社員として雇用すべき技能者を企業が一人親方とする実態もあるとみられる。新型コロナウイルス感染症の拡大で工事が中断した際、こうした一人親方は雇用調整助成金を受け取ることもできず、事業主として確定申告していなければ持続化給付金の申請もできなかった。
 国交省は、元請けが現場での社会保険加入を指導するための「社会保険の加入関する下請け指導ガイドライン」で、雇用保険に未加入の個人事業主が入場した場合に、労働者性の実態の確認を求める。未加入の一人親方については、上位下請けに対して再下請負通知書を提出させ、その関係性を施工体制台帳・施工体系図に適切に記載するよう求める。
 改訂するガイドラインではこの他、元請けに労働者単位の社会保険加入の真正性を確保するよう要請する。これまでは作業員名簿で真正性のない情報により、加入の有無を確認してきたが、社会保険の標準報酬決定通知書など加入の裏付けとなる関係書類の確認を求める。
 登録時にこうした書類提出を済ませている建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用する場合は、システムの閲覧画面で作業員名簿を確認すれば、関係書類の確認は不要とする。
 国交省は、ガイドラインの改訂案のパブリックコメントを7月中旬にも開始する。改訂したガイドラインは10月1日から適用する見通しだ。

提供:建通新聞社