新型コロナウイルス感染症の拡大による影響などで、2020年4月の建設工事関連の指標が、民間工事を中心にマイナスとなっている。29日に国土交通省が発表した建築着工統計調査報告では、4月の新設住宅着工戸数が前年同月比12・9%減の6万9162戸となり、11年4月以来の低水準となった。特に持ち家の着工戸数は1960年以来、60年ぶりの低い水準だ。大手ゼネコンの受注についても、大手50社調査(国交省)で、民間からの受注総額が30・8%減。調査を行った国交省では「(統計数値にも)新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が出始めている」とみる。資材関係では、4月のセメント国内販売が7・3%減。生コンの出荷も同じく7・3%減となった。
国土交通省の建築着工統計調査報告によると、新設住宅着工戸数の前年同月比マイナスは10カ月連続。4月のマイナスは11年以来の低水準となり、国交省は「新型コロナウイルス感染症の影響で一部のハウスメーカーが着工を休止した影響も出ている」という。
内訳をみると、持ち家と貸家のマイナスが大きく、持ち家が17・4%減(2万1015戸)、貸家が15・4%減(2万4976戸)だった。分譲住宅についても3・6%減(2万2557戸)となったが、マンションは2・3%増(1万0723戸)だった。
地域別では、首都圏が13・1%減(2万4903戸)、近畿圏が15・7%減(1万0030戸)、その他地域が17・8%減(2万5247戸)。ただし、中部圏は大型マンションの着工があったため、10・9%増(8982戸)だった。
住宅以外の民間非居住用の着工床面積も、前年同月比10・8%のマイナス。特に不動産業用が60・3%減、卸売業・小売業用が37・7%減、製造業用が17・4%減などと大幅なマイナスになった。
ゼネコン大手50社を対象とした建設工事受注動態統計では、受注総額が前年同月比14・2%減の7023億円となり、2カ月連続で減少。公共工事は55・5%増と増えたが、民間工事が30・8%減となり、全体を押し下げた。
民間工事の内訳は、製造業からの受注が32・5%減、非製造業からの受注が30・3%減といずれも大幅なマイナス。海外工事の受注も56・4%減だった。
提供:建通新聞社