国土交通省は、歩行者の安全な通行を確保したり、沿道に賑(にぎ)わいを生み出すため、道路空間を再構築する。5月20日に成立した改正道路法に盛り込まれた「歩行者利便増進道路指定制度」を活用し、車線数を減らして歩道を拡幅し、歩行者が滞留できる空間を確保。占用制度も緩和し、この空間の一部を民間に提供してまちの賑わいを高める。9月末にはモデル地区も公募し、同制度の全国展開につなげる。
自動車の安全、円滑な通行を目的とした道路空間を歩行者中心に再構築し、自転車交通環境や荷さばきスペースなどを確保するとともに、オープンカフェやイベント開催などによって人が安全に滞在できる空間を生み出す。
改正道路法の歩行者利便増進道路指定制度を活用すると、例えば中央分離帯と片側2車線を確保している道路で、車線数を片側1車線に減らし、中央分離帯を廃止。歩道空間を広げた新たな道路構造基準を採用できるようにする。
拡幅した歩道空間の一部を特例区域に指定し、占用制度を緩和してカフェやベンチなどを設置しやすくする。実質的に20年間の占用が可能になるため、民間事業者の初期投資の負担も軽減できる。
国交省は21日、同制度の運用を見据えた「『多様なニーズに応える道路空間』のあり方に関する検討会」の初会合を開いた。早ければ8月にも中間報告をまとめ、道路空間の再構築に向けた中間報告をまとめる。この中間報告を踏まえたモデル地区も9月末に公募する。
また、開会中の通常国会では、都市再生整備計画区域内の公共空間(道路、公園、広場など)の再整備を支援する都市再生特別措置法改正案も提出されている。国交省は、特措法と道路法に盛り込まれた二つの制度を併用し、快適な歩行空間を全国に広げる考えでいる。
提供:建通新聞社