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中央ニュース

2020/05/08

手元資金の確保・雇用維持を支援

 2020年度補正予算の成立を受けて、政府は新型コロナウイルス感染症の影響で苦境にある事業者を対象とした各種支援を開始した。最大200万円の現金を支給する持続化給付金や、休業手当の一部を助成する雇用調整助成金、民間金融機関による無利子・無担保融資制度の創設など、手元資金の確保と雇用の維持を中心に幅広い施策を展開している。緊急事態宣言の解除後も見据え、事業を安定的に継続するため、建設企業には支援策の特性を見極めて有効活用することが求められている。
 支援策には、大きく分けて▽給付(持続化給付金)▽雇用支援(雇用調整助成金など)▽補助(ものづくり補助金など)▽融資(無利子・無担保融資など)▽猶予(各種税、社会保険料の猶予、減免)―がある。
 このうち持続化給付金は、売上が前年同月比で半分以下になるなど厳しい状態に置かれた企業を対象としたもの。事業全般に使用可能な現金として、最大200万円(法人の場合。個人事業主は100万円)を支給する。手元資金に乏しい中小零細に対する緊急避難的な措置と言えそうだ。専用のホームページから電子申請が可能で、通帳残高をはじめ申請に必要な書類も全て電子データで送付できる。申請完了から入金までは「2週間を目指す」(経済産業省)としている。
 人件費の負担を抑えながら雇用を維持するためには、雇用調整助成金が有効だ。労使間の協定に基づき休業する際、労働者に支払う休業手当を上限8330円まで助成する。労働者に教育訓練を施す場合は最大で日額2400円を加算する。申請から給付までの期間は当初想定の1カ月よりも短縮し、「2週間程度が目標」(厚生労働省)だという。
 目先の必要資金を確保するには、金融機関からの融資の活用も重要となる。政府は補正予算により、民間金融機関から実質無利子・無担保で最長5年間にわたって元本据置きで融資を受けられる制度を創設。そのために必要な手続きの窓口も金融機関に一本化する特例措置を講じている。前年同月比5%以上の売上減少が要件となる。融資限度額は3000万円。
 この他にも、政府系金融機関による上限3億円の貸付や、信用保証協会による2億8000万円の危機関連保証の設定など、減収の度合いと企業規模に応じた融資・保証制度がある。
 さらに、政府は各種補助金にも新型感染症対策の特別枠を創設。ICT施工や3次元測量に必要な建機・測量機器、ソフトウェアなどにも充てることができる「ものづくり補助金」、テレワーク環境の構築を補助する「IT導入補助金」、販路開拓を支援する「持続化補助金」に対し、それぞれ新型感染症対策に取り組む企業を優先して採択する。
 一方、出費を減らす施策としては、納税猶予の特例制度がある。国税・地方税について、それぞれ2月1日〜21年1月31日に納期限が到来する税について、1年間の猶予措置を設定。2月以降に前年同期比約20%以上の減収期間が1カ月以上続いていることが要件となる。
 また、中小事業者に対しては、償却資産や建物などの固定資産税を1年限りで軽減する特例措置を講じる。青色欠損金の繰り越し還付制度や、テレワーク導入のための設備投資に対する7%の税額控除なども設けている。年金保険料をはじめとした社会保険料の納付を延期する特例措置もある。

提供:建通新聞社