国土交通省と総務省は4月30日、施工時期の平準化に向けて、全ての地方自治体の平準化率と債務負担行為の設定など5項目の取り組み状況を公表した。平準化率(年間平均の月別の工事件数を「1」とした場合の4〜6月に稼働している工事件数の割合)は都道府県発注工事の平均が0・75(2018年度実績)で、4〜6月に稼働している工事件数(平均)は年間平均に対して25%落ちることになる。工期が複数年度に跨(またが)らない1年未満の工事に債務負担行為を設定している都道府県・政令市は全体の8割、人口10万人以上の市区で4割、10万人未満の市区町村で2割となり、取り組みに大きな差が出た。
施工時期の平準化は、受発注者の働き方改革や技能者の安定的な雇用の確保などに効果が高いとして、改正品確法で発注者の責務、改正入契法の適正化指針で発注者の努力義務とされた。国交省・総務省はこれを踏まえ、入契法に基づいて毎年度行う実施状況調査で、まず自治体の現状を「見える化」した。
実施状況調査で各自治体が回答したのは契約金額500万円以上の工事の稼働実績。年間の工事平均稼働件数に対し、4〜6月期の平均稼働件数の割合を算出した。各都道府県の調査結果を見ると、最も平準化率が高いのは宮城県の0・93で、岩手県と新潟県が0・88で続いた。市町村を含めたブロック別で見ても、降雪の影響で1〜3月期の稼働が落ち込む東北・北海道の平準化率は高い傾向にある。
一方で平準化率が低かったのは岡山県(0・56)、千葉県(0・60)、広島県(0・61)、高知県(0・63)、神奈川県(0・64)など。
今回の調査では、平準化に効果の高い▽債務負担の活用(工期1年未満の債務負担、ゼロ債務負担の設定)▽余裕期間の設定▽繰り越し手続き▽積算の前倒し▽早期執行のための目標設定―についても取り組み状況の回答を求めた。
このうち、工期1年未満の工事への債務負担の活用は、債務負担を設定する必要がある工期1年以上の工事と異なり、4〜6月の稼働を増やす狙いで設定することが多い。都道府県・政令市は、全体の82・1%に当たる55団体が債務負担を活用。このうち、工期1年未満の全ての工事件数のうち、債務負担を設定した工事件数が10%以上となった都道府県・政令市も13団体あった。
一方、人口10万人以上の市区262団体では、工期1年未満の工事に債務負担を設定しているのは97団体(37・0%)、人口10万人未満の市区町村1459団体では291団体(19・9%)となり、都道府県・政令市との間に大きな差が出た。
国交省と総務省では、今回の調査結果を踏まえ、自治体に施工時期の平準化を促すための「全国統一指標」を5月中に新たに設定する。地域単位で平準化率の目標値を定めるなど、各自治体に対応の強化を求める。
提供:建通新聞社