国土交通省は、直轄事業での新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策の徹底を求める通知を地方整備局などに送付した。通知では、受注者が感染拡大防止対策を強化して追加費用が生じる場合、設計変更によって発注者が費用を負担する考えを提示。具体的には、技能労働者の密集を避けるための近隣宿泊施設の宿泊費や現場事務所・宿舎の拡張費の他、マスク、消毒液、赤外線体温計の購入・リース費、テレビ会議のための機材・通信費などを対象として例示した。通知は都道府県・政令市にも参考送付した。
契約済みの直轄事業では、新型コロナウイルスの感染拡大防止を図るために受注者から一時中止や工期・履行期間延長の希望がある場合、「受注者の責めに帰すことができないもの」として、一時中止や設計変更を行うとしている。
20日に大臣官房技術調査課長ら関係課長の連名で発出された通知では、継続を決めた工事・業務で感染拡大防止対策に必要な追加費用についても、受発注者で設計変更を協議するよう指示した。発注者が必要と認めた対策は、施工計画書・業務計画書に反映した上で設計変更し、請負代金・業務委託料の変更や工期・履行期間の延長に応じる。
通知では、設計変更の対象となる対策の内容を例示している。
共通仮設費の関係では、労働者の密集による感染拡大を防ぐため、近隣の宿泊施設に労働者を宿泊させる際の宿泊費や交通費が設計変更の対象になると記載。現場事務所や宿舎の拡張費・借地料も対象に上げた。
現場管理費では、現場従事者のマスク・インカム・シールドヘルメットなどの購入・リース費用も例示。現場に備え付ける消毒液の他、赤外線体温計などの購入・リース費用も設計変更の対象になる。監督職員が現場を訪れずに監督・検査を行う遠隔臨場やテレビ会議に必要な機材・通信費も変更対象として例示した。
現場での感染防止対策を講じる際には、厚生労働省が作成した「3つの密を避けるための手引き」、国交省の「建設現場『三つの密』の回避等に向けた取組事例」を参考にする。さらに、具体的な対策の事例をSNSで周知することも呼び掛けた。ツイッターで「#建設現場の3密対策」のハッシュタグを使用し、受発注者が対策事例を広く拡散させるよう求めた。
また、通知では、今回ような対策の徹底に関する指示について、工事・業務の継続を「受注者の意に反して推奨する趣旨はない」としており、従来通り受注者が希望すれば一時中止や工期延長などに適切に対応するとした。
提供:建通新聞社