新型コロナウイルス感染症の急速な拡大に伴い、「工事を継続する」としていた方針を転換し、原則一時中断に踏み切る大手ゼネコンが相次いでいる。すでに同様の措置をとっている清水建設などに続き、4月15日には大林組と戸田建設が一時中断を前提に発注者との協議に入ると発表した。
大林組では、緊急事態宣言の対象地域にある現場の状況を精査した上で、5月6日までの施工中断を前提に、4月20日から発注者と協議に入るとしている。対象の7都府県以外でも、状況に応じて対応を検討する。また、4月25日から5月10日までを一斉休業とすることも決めた。
戸田建設は、緊急事態宣言の対象地域で施工中の現場について、発注者と協議の上、5月6日までの間は原則閉所する。今後の対応については、発注者・協力会社などと適宜協議を行い判断するとしている。
―中小建設業 迫られる経営判断―
国土交通省の直轄工事では、工事の中止について「受注者の責めに帰することができないもの」であり、中止期間中の「費用を適切に負担する」こととしている。4月10日時点で一時中止を申し出た工事(緊急事態宣言対象地域)は全体の8%だが、大手ゼネコンの決断が相次ぐ中で、中小建設業の間にも同様の動きが広がる可能性もある。
一方で、民間工事については、行政からの休業要請が出ていない段階で、受注者側から工事の中断を発注者に申し入れた場合、工期の延長に伴うコスト増などの負担について交渉が難航することも予想される。従業員の安全と経営の安定の狭間で、大手ゼネコンと比べて経営体力の乏しい中小建設業はこの事態にどう対処するのか。かなり難しい経営判断が迫られそうだ。
提供:建通新聞社