国土交通省は「建設建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の2019年度採択事業の評価結果=表参照=をまとめた。採択された25事業のうち、導入効果や社会実装の実現性が最も高いとされたA評価は12事業。各事業の成果はすでに直轄事業の技術基準にも反映され、新型コロナウイルスの感染拡大の防止にも効果がある遠隔現場臨場などの現場実装にもつながっている。
プロジェクトは、官民の研究開発投資の拡大を目指した「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」の予算配分を受け、公共工事の受注者やIT企業などがコンソーシアムをつくり、事業主体として新技術を現場で試行した。
各コンソーシアムは、データ活用によって労働生産性や品質管理を向上させる新技術を現場で試行。活用の効果が高い技術は、直轄事業の技術基準を見直して現場実装できるようにする。
19年度の採択事業25件の評価は、最高評価の「A評価」が12件、社会実装に向けて技術開発が期待される「B評価」が10件、社会実装にはさらなる技術開発・課題解決が必要な「C評価」が3件となった。試行に成果がなかった「D評価」の試行はゼロだった。
19年度は、現場で撮影した映像を活用した遠隔臨場検査を試行した現場が12件あり、これらの成果を踏まえ、国交省は3月から遠隔臨場の試行をスタート。20年度は発注者指定型として約100件の工事で遠隔臨場検査を実施する見通しだ。
遠隔臨場検査は、監督職員が事務所に配信された映像で指定材料の確認や寸法確認を行うため、移動時間の削減などの効果が大きい。受注者側も監督職員が現場に検査で訪れる際の手待ち時間が短縮される効果がある。受発注者が対面で接触する必要がないため、新型コロナウイルスの感染拡大防止にも効果があるとして、試行を拡大させたい考えでいる。
この他、19年度の試行の成果は、UAV測量の効率化にも生かされた。従来のUAV測量は100b間隔で標定点設置が必要だったが、計測制度を補完する技術を適用して標定点の削減が可能になった。レーザースキャナを搭載した建機によるリアル施工箇所の出来形管理も現場実装できるようになる。いずれも、直轄事業の技術基準を見直し、20年度から現場に実装できるようになった。
提供:建通新聞社