新型コロナウイルス感染症の拡大に対する政府の「緊急事態宣言」に対応し、建設業界でも感染防止の取り組みを強化する動きが広がっている。現状の対策の中心は内勤者のテレワークの拡大などだ。一方、建設現場の一時中止などについては、発注者の判断を待つ構えが大勢となっている。
大林組(本社・東京都港区)は、「感染爆発重大局面」を訴えた小池百合子東京都知事の3月25日の要請に対応し、首都圏の内勤者を原則的にテレワークとしてきた。現場でも、可能な限り同様の対応をとっている。
今回の緊急事態宣言を受け同社は、5月6日までの間、対象エリアを大阪本店や九州支店などにも拡大し、首都圏ではテレワークの原則を強化・徹底すると発表した。
また飛島建設(本社・東京都港区)も今回の宣言に対応し、本社や大阪支店、九州支店などの内勤者を対象に、5月6日まで在宅勤務を原則化し、テレワークを強化する方針を明らかにした。同社ではこれまで、部署ごとに30〜50%の職員のテレワークを目標にしていたが、これをさらに拡大する。また、出張や移動についても従来通り、不要不急の出張などを原則として禁止し、テレビ会議などで対応する方針だ。
竹中工務店(本社・大阪市)も、テレワークなどの取り組みをより拡大する方向だ。長谷工コーポレーション(本社・東京都港区)も、これまで一部で試験的に実施していたテレワークを本格化するとしている。
一方、建設現場については、時差出勤や作業員の健康管理などを徹底するものの、「原則として継続する」(大林組)という対応が大勢だ。「事業の性格上、受注者の判断で決められない。国交省などから方針を示してほしい」と話す業界関係者もいる。
提供:建通新聞社